ISSUE 2 ウイスキーと、女子。

変化は自由の「もと」でした

人生の舵を大きくきるとき、そこには“学び”が生まれている

誰もが主役になれる学びの場

「大きく学び、自由に学ぶ」をスローガンに掲げる東京・表参道の自由大学。講義は誰でもつくることができ、"教授"として講義を受け持ったり、"企画者"という立場で教授を呼び、講義を企画することもできる。講義に参加する受講生のバックグラウンドもさまざま。表参道という都会の真ん中にある新しい学びの場で「学長」を務める女性、岡島悦代さんに話を伺った。

2008年のリーマンショックで
自分を考え直すことに

「人生で何か失敗があっても、それを別の意味で捉え直すことで失敗が"学び"となり、自由に生きることにつながるのではないか」

そう話す岡島さん自身も、元をたどればこの自由大学の受講生だった。20代の頃はレコード会社でWEBデザイナーとして働き、その後、結婚を機に金融商品のWEB制作へ。しかしリーマンショックを機に金融商品自体の価値が大きく変わってしまうのを目の当たりにして考えがガラリと変わった。

「誰かの人生を狂わせちゃうようなところに、自分の人生を費やすのは違うかもしれないと思い始めたのかなぁ」

モニターを通してでなく、対面でのコミュニケーションを生み出したいと猛烈に感じていた当時の岡島さんのもとへ、静岡県の沼津市に暮らす父から地元のカフェ立ち上げの相談を受けた。
東京で身につけたことを地元へ還元すべく、カフェ立ち上げに参画した岡島さん。当然、東京と同じ感覚で仕事は進められないだろうと覚悟していたが、実際のギャップは想像以上に大きかった。その難しさや想いを共有しながら学べる場を探していたとき、自由大学の『地域とつながる仕事』という講義に出会った。
「講義には、地元に帰り何かをやりたいと思っている人が集まっていて、東京でそういう人たちと出会えたことが安心感につながりました」

次のあり方を探して出会った「キュレーション」

沼津のカフェは立ち上げから2年関わり、仕事を引き継いだ岡島さんは東京へ戻ってきた。このまま単純に就職するのも何かが違うなと思ったとき、タイミングよく『キュレーション学』という講義に出会う。

ある事象の本質を横串でさし、新しい概念をつくりだす『キュレーション』。それを機に岡島さんの学びづくりへの興味は加速し、自由大学で講義をつくるまでになった。

「働きづめだった20代の頃は朝ごはんを家で食べず、コンビニで買った菓子パンをデスクでかじって牛乳を飲む、という生活。ある時、上司に『君は2回朝ごはんを食べるのかい?』と言われたんです。その人は家で朝ごはんを食べるのが当然で、デスクで朝10時に菓子パンを食べる女子って、どれだけ食いしん坊なの? と思ったというわけです。同じ状況の働く女性もいるはずだから"朝ごはん"に軸を置いて1日を組み立てる学びをつくってみよう、と考えました」

半歩先を示すことができるチーム作り

初めてつくった講義『朝ごはん学』は人気を博した。こういった経験から、学びは色々な側面で作ることができると気づき、いろいろな講義をつくってきた岡島さん。2015年からは学長という立場に就いた。

「30代は激動で働き方も生き方も変わりました。個人でどれだけチャレンジし、形にできるかを試行錯誤していた日々でした。学長という立場になってからは運営チームを取りまとめ、みんなの才能を引き出しつつ自由大学のコアの価値を作る...また新しいチャレンジです」

自由大学の運営チームは現在5名。着物にまつわる仕事をする人もいれば、北欧のライフスタイルに関するマーケットをつくる人もいる。全員が仕事を複数持ち、その相乗効果から得られるインスピレーションをまた自由大学へ還元している。

働く、遊ぶ、学ぶがシームレスにある場所で

自由大学がある『COMMUNE246』は、都会のど真ん中にありながら小さな村のような、流れる空気に親密さを感じる不思議な場所だ。フードカートの並ぶ屋台村、「みどり荘2」というコワーキングスペース、そして自由大学が同じ敷地内に位置している。

「ここの場所自体が、働く・遊ぶ・学ぶという"生きる"ということがシームレスな状態で成立しています。自由大学では会社の顔/家庭の顔と切り分けずに、それでいていろいろな側面を持てるような学びを提供していきたいんです」

小さな蒸溜所のたくさんある街 ポートランド

自由大学では、講義終了後の交流の場にはフードカートで買ってきたお酒が不可欠だし、ビール、焼酎、日本酒、日本ワインなどをテーマにした講義が多数ある。

「私自身もここでお酒をよく飲みます。確か、初めてバーでウイスキーを飲んだときはクセが強いと感じたけれど、父がずっと好きで飲んでいたお酒だし、この味が理解できないと大人になれない、いつかこれを理解できるようになりたいなあ、と思ったのを覚えています」

自由大学ではここ4年ほど『CREATIVE CAMP IN PORTLAND』というポートランドへ学びに行く講義を開催しており、岡島さんも毎年通っている。山と美しい川に囲まれたその街には、小さなウイスキーの蒸溜所が数多くあり、そこで飲むウイスキーがとても美味しいんですよ、と岡島さんは教えてくれた。

「ポートランドにある『マルトノマ・ウイスキー・ライブラリー』というバーには1500種類ものウイスキーがあり、お気に入りの場所です。水がおいしい土地でウイスキーを飲むのっていい。私の地元、沼津もそうです」

ウイスキーは紳士が飲んでいるイメージなので、ウイスキーが飲める場所に行くと素敵な男性に出会えると思いますけど、と笑う岡島さん。

「私は内省するのが好きなので、ぼーっと何かを考えつつ、ウイスキーの複雑味を楽しみます。そうやって考えを巡らせているなかで、いろんな点と点がつながるときがあって、それが新たな学びを生み出す。ずっと動き、刺激を受け続けられる環境にいたい。女性って柔軟性があるし、できる範囲でやりくりするのがすごくうまい。そういう良さをいかした働き方ができるようになったらいいなと思いながら、今も楽しんでいます」

価値観を固定させない。環境の変化への適応力。あるもののなかから新しいことを始めるという創造性に長けた女性たち。自由大学は女性も男性も学びにくる場所だが、この先の新しい学びが生まれる場には、岡島さんのような女性の学長がぴったりなのかもしれない。

ウイスキー片手に、たまには
物思いにふけりませんか?

大人のお酒だと思って飲んでいたウイスキーの味も、最近だんだんわかるようになってきた。ちょっと複雑な、この味を楽しめる自分に変化したことが嬉しい。

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ウイスキーと、女子。

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